こんにちは！京物 月実です。

今回は、日本画用画材を製造する「ナカガワ胡粉絵具」へ、工場見学に行ってきました。
胡粉という主に日本画に用いられる絵具の製造工程をじっくり拝見してきましたので、レポートいたします。

ナカガワ胡粉絵具は明治30年創業、京都府宇治市にて絵具を製造販売しています。
工場見学では、はじめに室内で胡粉絵具の特徴と製造の簡単な流れをレクチャーいただきました。
胡粉は牡蠣の貝殻から作られる絵具で、温かみのある白が特徴です。日本画の下地や雛人形のお顔の白地に用いられています。なんと塩豆にも使われていて口に入れても問題ないとか！

事前知識を得て、いよいよ胡粉の製造過程を見学させていただきます。

まずは、風化させ砕きやすくするため、牡蠣の貝殻を野ざらしにします。工場の裏には牡蠣の貝殻の山ができあがっていました。野ざらしの期間はなんと20年弱！完成までに長い時間を要するんですね…びっくりです。

選別後は、ハンマーの内蔵されたハンマーミル、棒をおとして割るスタンプミルという機械を使って、貝殻をどんどん細かくしていきます。

ここまで細かくなった粉を、さらに石臼でひいていきます。臼は水を張った状態で回しているとのことですが、これには理由が。60度以上になると変質してしまう胡粉を、水を利用することで温度があがらないようにするためとのこと。そんな知恵が！と膝を打ちました。

長い時間と労力をかけて出来上がる、そんな手間暇かけた美しい白に心ときめきました。

ちなみに、工場には現役で使用可能な100年も前の機械もあり、動く様子を見せてくださいました。新しいものと同様にリズミカルに動作する機械を間近で見ることができ、先人たちから伝わった技術を肌で感じられました。

胡粉だけではなくカラフルな岩絵具や世界各国の土から作られた土絵具など、魅力的な画材をたっぷり作っておられます。

そんなナカガワ胡粉絵具では、日本画教室も行っております。1回体験もあるとのことでしたので、京都・宇治へ観光にお越しの際はぜひ体験してみてください！

なかなか観光には来られない方も、京ものさんぽでは自宅で簡単に日本画を体験できるセットをご用意しております。

その内の一つ、「日本画体験キット雪椿編」を実際に使ってみました！

１線画をトレースし、下絵を描く

元の絵があるため、初心者でも簡単に綺麗な作品が作れます。

２絵具を膠で溶く

カラフルな岩絵具と白い胡粉絵具を、膠を薄めた液で溶いていきます。粉を捏ねていく中で、一色一色に愛着が湧いてきて楽しい工程でした！

３色塗りをする

体験キットには色をのせていく順番も説明されており、迷わず塗り進められました。胡粉の白は柔らかくもパッと目を引く色で、塗りながら一段と心躍りました。

日本画と聞くと美術館に飾られるような大きく立派なものを想像しますが、こんなに手軽に自分の手で描けるものだったのかと嬉しくなりました。奥行のある色味の絵具が美しく、色を重ねていくたびに楽しさも増していきました。

工場見学の貴重な機会をくださったナカガワ胡粉絵具さん、ありがとうございました！

今回製造過程を見学させていただいた胡粉を使えるセットや京ものさんぽで取り扱っている体験キットのバリエーションを、ここではご紹介いたします。